伊勢の森というのは本当にいろいろな表情を見せてくれる。
これは、御遷宮行事の一つで、御樋代木(みひしろぎ)を領内に運ぶ行事。陸から運ぶものと川から運ぶものがあり、これはその川曳きという行事の際に撮影した一コマだ。五十鈴川を多くの人の手によって引かれてきた巨大な御樋代木が、その曳き手が休憩に入った一瞬、人の影がなくなり静謐な時間の中に取り残されたような姿を見せてくれた。
ご神木を守るかのようにうっそうと茂る緑と、清らかな水面に映る森と御樋代木の対比がユニークで、神宮のちょっと変わった表情といえるのではないかと思う。