伊勢神話の旅

神話の心へ

樹木、岩、滝、田んぼや井戸、お米の一粒にまで。森羅万象に神が宿ると信じ、見えない存在を感じながら生きてきた、私たちの祖先。八百万神の国の民は、春を愛で、種を蒔き、太陽を拝み、時に雨を乞い、秋の豊穣を願って絶え間なく祈りを捧げてきました。そして豊かな自然の恵みに感謝しつつ、めぐる季節にまた新たな命の輝きを願う。大いなる力に畏敬を抱き、自然の恵みに感謝を捧げ、折り合って生きていく。そんな私たち日本人の心の原点が、ここ伊勢神宮にあります。訪れたとき、何か見えないけれど尊さを感じ、ありがたい気持ちが湧き起こったら…。あなたの神話の心が、鼓動している証です。

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神話の宮へ

「天から降ったような建築」と、ドイツの建築家ブルーノ・タウトの魂を揺り動かした、伊勢神宮の社殿。唯一神明造と呼ばれる様式は、古代の高床の穀倉が原型とされています。地中に直に柱を埋める掘立柱、屋根の上に突き出た千木、茅葺きの屋根。清々しいまでにシンプルな造りは、神宮の他にはほとんど見られません。この社殿が690年以来、20年に一度の式年遷宮によって建て替えを続け、そのままの形で現存しているとは、まるで奇跡のようです。繰り返し再生することで、瑞々しい力の永続を祈る式年遷宮。新しい宮の清らかで美しい姿には、つねに若々しい生命の輝きを願う心が息づいています。

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神話の光へ

日の出。まばゆい太陽が徐徐に姿を現して世界が光と温もりで満たされる時、私たちは言いようのない神々しさと新しい一日への希望を感じずにはいられません。太陽の光はあらゆる生命の源です。その太陽にたとえられる「天照大神」が、約二千年前に伊勢を選んで鎮座されたと『日本書紀』に記され、伊勢神宮 内宮の正殿には天照大神のご神体が祀られています。天にあって照り輝く偉大な神、最高唯一の神を意味するとされる天照大神。神話の世界と私たちの実感をむすび、時空を超えて人の心を一つにするのは、光なのかもしれません。そして、光の道は、希望へとつながっているのです。

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神話の森へ

千古の杉が生い茂る伊勢神宮の森は、いつの時代も一年中変わらぬ緑をたたえ、清らかな空気で私たちをやさしく包んでくれます。雨が降れば森は瑞々しく息づき、水は土深く保たれて、やがて川となって田畑を潤し、海へと流れ込みます。そして、木々は生き物たちに惜しみなく酸素を与え、落ちた葉は土に還って新たな芽吹きのゆりかごとなります。多様な生命を育み、水や空気を循環させて、日本の里山の美しい風景をかたちづくる森。その偉大なる恵みに、古来、人々は神を感じ、ずっと祈りを重ねて来たのでしょう。神宮の森は、そんな心の原風景に立ち返る場所でもあります。

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