ここでは、毎日が神話です

私たちの国には、古来、たくさんの神話がありました。そのなかで、今も進行形の神話に出会える聖地が、ここ、伊勢です。
かつて、天上世界の高天原(たかまのはら)から、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上の国を治めるために降りてこられたという「天孫降臨(てんそんこうりん)」。大御神は瓊瓊杵尊に、神鏡(しんきょう)として祀るための「鏡」と国民の糧とするための「稲穂」を託されたといいます。「この稲を地上で育て、瑞穂の国が栄えるように」と。これが瑞穂の国、日本のはじまりの神話。そして、伊勢神宮のはじまりでもあります。天照大御神が鎮座されて以来、二千余年にわたり、神宮では一日も欠かすことなく、五穀豊穣と国の繁栄を願い、恵みに感謝を捧げるお祭りが行われて来ました。伊勢のまちの人々もまた、神宮とともに歩んで来たのです。
気の遠くなるような歳月を超えて守り継がれ、今なお生きて未来へ向かう神話の息吹き。お参りして「ありがたい」と感じたら、あなたの神話の心が鼓動している証です。

神話をめぐる参宮のすすめ

二千年の昔から、今も変わらぬ姿で私たちを迎えてくれる伊勢神宮。その名は正式には「神宮」と言い、皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮:ないくう)と、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮:げくう)を中心とする百二十五社からなる日本最高の聖地です。神宮へお参りすることを「参宮」と言い、古来、外宮、内宮の順に行うのがならわしとされています。

まずは外宮から

外宮は、正式には豊受大神宮といい、ご祭神は豊受大御神(とようけのおおみかみ)。約二千年前に天照大御神が内宮に鎮座され、その五百年後にお食事を司る神様として、丹波の国からお遷りされました。豊受大御神は「御饌都神(みけつかみ)」とも呼ばれ、神々にたてまつる食物を司る神様であることから、私たちが毎日食べるお米をはじめ、衣食住や広く産業全般の守護神としてあがめられています。外宮の神域では、毎朝、古代さながらのやり方で火を起こし、かまどに火を入れ、水を汲み、朝夕二回、神様の食事を調えてお供えしています。その日々のお祭りが、一日も欠かさず千五百年にわたって続けられているのです。早朝など時刻によっては、そうした祭祀を行う神職の姿を木立の間から垣間見ることもできます。

宇治橋を渡って内宮へ

皇大神宮、通称「内宮」は、神路山・島路山(かみじやま・しまじやま)を源とする五十鈴川の川上に鎮座しています。ご祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)で、皇祖神(こうそしん)として、また日本各地の氏神(うじがみ)様の総氏神として祀られています。
内宮へ足を踏み入れるには、まず、五十鈴川に架けられた宇治橋を渡ります。橋の内側の大鳥居は、ここからいよいよ神域と心あらたまるところ。参道に立ち並ぶ大杉が神域の森厳さを深めます。手水舎(てみずしゃ)で手水をとって心身を清めたら、玉砂利を踏みしめ、大杉が覆う清らかな空気に包まれながら、長い参道を静かに歩きましょう。天照大御神をまつる正宮は、参道奥の石段の上。正宮の御門の前で二拝二拍手一拝を行うとき、自然に「ありがたい」と思う感謝の気持ちがあふれてきます。