御遷宮ごせんぐうは、1300年前ねんまえから続つづいていますが、「お木曳きひき」の歴史れきしもまた古ふるく、550年以上前ねんいじょうまえから現在げんざいまで続つづいています。

もともとは、お宮みやをつくる御用材ごようざいを伊勢神宮いせじんぐうへ運はこび入いれる作業さぎょうが、行事ぎょうじに変かわったもので、奉曳車ほうえいしゃやソリに御用材ごようざいをのせて、たくさんの人ひとの力ちからを合あわせて綱つなを曳ひいてお運はこびします。

お木曳きひきも御遷宮ごせんぐうにまつわる行事ぎょうじのため、20年ねんのサイクルで行おこなわれ、地元じもとの皆みなさんにとっても一生いっしょうに数回すうかいしかない大切たいせつなお祭まつりです。古ふるくからある団だんの中なかには、伊勢神宮いせじんぐうとの関かかわりや地域ちいきごとの役割分担やくわりぶんたん、お木曳きひきの歴史上れきしじょうのさまざまな逸話いつわなどがあり、まちの伝統でんとうを現代げんだいまで伝つたえているところも多おおくあります。また、各団かくだんが奉曳車ほうえいしゃやソリの飾かざり付つけなど、それぞれの特色とくしょくを活いかし、そろいのはっぴを着きて御用材ごようざいをお運はこびすることは今いまも昔むかしも変かわりません。

木遣きやりは古ふるくから、材木ざいもくの伐きり出だしや築城ちくじょうの際さいなどの労働唄ろうどううたとして盛さかんにうたわれたといわれています。伊勢いせの木遣きやりは、お木曳きひきの時ときや祝儀歌しゅうぎうたとして神事しんじのめでたい時ときにうたわれ、また、「伊勢音頭いせおんど」のルーツのひとつだともいわれています。

お木曳きひきの木遣きやりには、荷締にじめの木遣きやり・本木遣ほんきやり・子こども木遣きやりなどいくつかあります。また歌詞かしに地域ちいきの特色とくしょくをよみ込こんだり、時代じだいに合あわせてつくりかえたりするなど、各団かくだんごとに特色とくしょくがあり、節回ふしまわしにも違ちがいがあります。

川曳かわびき・陸曳おかびきともに木遣きやりをする人ひとが、指揮しきを執とるために、手てに持もち振ふるう「采ざい」には、短冊状たんざくじょうの和紙わしを束たばねたものを陸曳おかびきで、木きを薄うすく削けずって束たばねたものを川曳かわびきで使つかいます。紙製かみせいでは水みずにぬれると重おもくなり破やぶれるので川曳かわびきでは木製もくせいを使つかいます。材質ざいしつは杉すぎや檜ひのきを使用しようしますが、白しろい柳やなぎを使つかうところもあるようです。総ふさの数かずは一年いちねんの日数にっすう365本ほんに決きめているところもあるようです。