伊勢神宮の書物には「外宮先祭(げくうせんさい)」という言葉があります。これは伊勢神宮で重要なお祭りである「三節祭(さんせつさい)」、6月と12月の月次祭(つきなめさい)、10月の神嘗祭(かんなめさい)を指しますが、この三節祭においてはまず外宮からおまつりした後に内宮でおまつりするという外宮先祭によって祭祀が行われています。これにならって天皇や皇族方のお参りも外宮が先。私たちも外宮から内宮の順で行うのが正しいとされています。現在では内宮の参拝だけで済まされている方もおられますが、せっかくのお伊勢参り、ならわし通りに外宮から参拝されてはいかがでしょうか。
参拝順序にはさらにこんな話もあって、実はその昔は外宮~内宮参拝の前に、二見浦で禊をしてから参拝、さらに内宮参拝後は朝熊山(555m)山上の金剛證寺を参詣するのがならわしでした。金剛證寺は伊勢神宮の鬼門(北東)を守る古刹です。伊勢音頭の一節には「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と唄われています。二見浦には有名な夫婦岩があります。朝熊山上からは雄大な眺めが楽しめます。
手水舎(てみずしゃ)で手を洗い、口を清めます。順番は
① 右手で柄杓(ひしゃく)を持って水を汲んで左手にかけて左手を清めます。
② 柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。
③ 柄杓を右手に持ち、左の手のひらに水を受け、その水を口にふくんですすぎます。
※柄杓に直接口をつけたり、うがいをするのはマナー違反です。
④ もう一度水を左手にかけます。
⑤ 柄杓を立て、柄に水を流してから柄杓置きに伏せて置きます。
※以上を1杯の水で行います。やってみましょう。
神前についたら正式参拝で神様にお願いを。順序として
① 姿勢を正し、軽く一礼します。
② 腰を90度に折って2 回お辞儀をします。
③ 最初に手を合わせて、右手を少し下げ(ずらす)、2回手を打ちます。お願いはこのときに。
④ もう一度深くお辞儀をします。
⑤ 最後に姿勢を正し、軽く拝礼します。
※深く腰をおるときは両手で膝がしらをつかむような感じ、がポイントです。
参道に入ったら私語は慎んで心静かに歩きましょう。帽子は脱いでください。前の人についていったらわかるように、外宮では左側通行、内宮では右側通行になっています。これはいろんな説がありますが、外宮のご正宮は参道を行った右側、内宮のご正宮は左側にあります。参道の遠い側から神様に近付いていくのです。ちなみの中央は神様がお通りになる道とされています。
ほかの神社にあって、神宮にはないものです。どうしてないかというと、それだけ神宮の歴史が古いってことなのです。それらが一般化する前から神宮は今の形であり、他の神社の影響を受けなかったからなのです。例えばおみくじがなくても神宮に参拝した日は大吉と考えましょう。
伊勢には毎月1日に早起きして神宮さんにお参りする「朔日まいり」の風習があります。これは無事に過ぎた1か月に感謝し、新たな月の無事を祈るものです。そんな特別な日の毎月1日の早朝、内宮近くのおはらい町では「赤福」特製の朔日餅(1月除く)や「すし久」などいくつかの飲食店で月替わりの朔日粥がいただけます。
毎月1日・11日・21日の朝8時頃には、内宮と外宮で神馬がご正宮にお参りする「神馬牽参」が行われます。あざやかな衣装の神馬が、神職に付き添われて堂々と参道を歩いていく姿を見ることができます。ちなみに神社に奉納する馬に代えて、板に馬の絵を描いて奉納するようになったことから、「絵馬」が起こったといいます。