伊勢神宮の御遷宮のための御用材を奉納する伊勢のまちの伝統行事です。
「式年遷宮」は、二十年を区切りとして、古代からの様式そのままに新しい神殿を造り御装束神宝を調進し、神様がお宮を遷る神宮最大のお祭りです。お木曳は神殿の御用材を奉納する奉仕作業が民俗行事となったものです。これは遷宮関連行事の中でも市民が参加できる数少ない機会であり二十年ごとに二年にわたって執り行われます。
奉曳車や、さまざまな様式に各団独特の伝統が受け継がれ、伊勢のまちが最も盛り上がる民俗行事です。
昔ながらの「お木曳」二十年ごとに伝承
遷宮は持統天皇の頃、千三百年前からといわれていますが、「お木曳」の歴史もまた古く五百年を遡ると言われています。
元々は社殿を造る御用材を宮域内へ運び入れる作業(労役奉仕)が、祭礼化したもので、独特の大きな奉曳車に御用材を載せて、神領とされた伊勢の地の老若男女、各世代が参加して大勢で力を合わせて綱を曳き、神域へと運び入れます。
お木曳も遷宮にまつわる行事のため、二十年サイクルで行われ地元の人にとっても一生に数回しかない大切なお祭りです。各団が奉曳の飾り付けや構成など、それぞれの特色を活かした個性を競い、奉曳することで次世代へと祭りもまた伝承されてきました。
遷宮で使う木を「御用材」といいます。御用材となる木は木曽(長野、岐阜)で伐採され運ばれてきます。一回の遷宮で約一万本の檜が必要です。昔はその全てを曳いた、まさに労働奉仕作業だったといいます。今では一部をこうして「御用材奉曳」=お木曳行事に使用しているのです。奉仕にあたって各奉曳団が御用材をお預かりし、そして神域に曳き込んだ後、奉納します。